猫の目 選挙篇②(平成15年4月)

如何に吾輩の主人が、現下の政治と民の無関心を憂い、これを覆さんとて狂奔するにも拘らず、逐一之を読者に報知するの能力と根気のないのは甚だ遺憾である。

ほのかに承れば人の法は猫には該当せぬ。猫だって襷に鉢巻ぐらいはできるから、一飯君恩を重んずる吾身なれば主人のために選挙運動をしたところで未成年ゆえに逮捕という過激な処置は警察もせぬであろう。

ここで吾輩ははたと考え込んでしまった。猫好きと同じ数猫嫌いがいると考えるが道理である。主人の熱意に水を注すほどの野暮天でもない。猫の恋と風流を決め込む歳でもない。春朧、惰眠あるのみ。そもそも猫に徒党は組めぬ。