2月議会における最重要議案がWTCへの庁舎移転案であったことは間違いない。
私にとっては、「庁舎移転」という議案そのものが持つ重要性とは別に、議案が間接的に投げかけた問題点(例えば、広域行政主体の必要性等)、また、その背後にある政治状況(分権時代における政党組織のあり方等)について考察する機会となったのであるが、それは、ある意味、平成15年から16年にかけて行われた大阪市長選挙、大阪府知事選挙を巡る論争の焼き直しであるように思われるので、改めて表面化した論点と課題を整理しておきたい。
先ず、政治状況から。
平成15年の夏、来るべき大阪市長選挙と大阪府知事選挙を前に、大都市制度に関し、市長(予定候補)が主張する「スーパー指定都市構想」と知事(予定候補)が唱える「大阪新都構想」が対立していた。
私は、当時の青木幹雄・自民党参議院議員幹事長に「全然考え方の違う市長候補と知事候補を同一の政党が推薦するのは自己矛盾ではないか」問うたところ、青木幹事長は「それは大阪府連において判断されるべき問題ではないか」とお答えになった。
これを受けて発表したのが以下の文章である。(ほぼ原文のまま)
2003年7月25日。
「政党組織の改変も急務です。
私の政治目標は分権・自治の実現です。
三位一体の改革が中央政府主導で進められていますが、地方から見れば言わば他力本願的な分権改革です。地方からも実現すべき「地方のかたち」、「国のかたち」を自らが提案すべきであると考えています。地方の側から提案すべきは、①分権の「受け皿」、(「大阪新都」構想を主張する知事と「スーパー指定都市」の実現を目指す市長が論争を繰り広げています。どちらに与するにせよ、分権の核心に迫る問題を提起している、という点において評価していますが)、②党本部と地方本部の関係を明確にすること(分権が進んだとして、現在のように中央集権的、上意下達で全国を束ねる党本部は存在意義を有し続けるのでしょうか? 国が地方の連合体になるなら、党本部も地方本部の連合体にすべきです)、だと考えます。
このような議論を地方でいくらしていても中央には届きません。「住民(府民、市民)が主役の政治」を実現するためには、①分権の受け皿に関し、「大阪が何をするか」、自治基本条例(「国」の基本法、憲法に対置すべき「大阪」の基本法)を制定する(もちろん、ここで「大阪新都」か「スーパー指定都市」か、或いは第3の選択を行う)、②この条例を実現するための組織(仮称「自民党大阪別院」)を発足させる、ことが急務だと考えます。」
政治力学におけるベクトルは、これまで、常に「国から地方」だったし、「地方からの変革」もスローガン倒れだった。橋下知事の誕生は、このベクトルを逆転させることができる最初で最後のチャンスかも知れない。
(続く)