日本の危機

OECDの対日審査報告で伝えられたように「世界経済危機と財政刺激策により、2010年の一般政府財政収支赤字はGDP比10%程度に拡大。公的粗債務残高はGDP比200%に達すると見込まれ、金融市場の信認を維持するためには、より詳細かつ信頼の置ける中期的な財政再建計画が必要となっている」

この報告書の内容からさらに一歩踏み込んで「20XX年 財政破綻の悪夢」という記事が今朝(3月7日付け)の朝日新聞に掲載された。議員、役人、銀行、企業家はもちろんのこと、広く国民が共通して理解しているべき日本財政の危機について、幅広い観点から大きく報じたことに深く敬意を払いたい。

記事の内容は、①景気対策や高齢化で歳出が膨らんでいる、他方、②不況の影響で税収は急落している、その結果、③2010年度予算案における歳出は92兆円であるのに対し、税収は37兆円しかない、それで、④税収不足を補うため44兆円の借金をしている、この結果、⑤2010年度末で「政府」全体の公的債務残高は949兆円になる(OECD報告と同じ)、⑥国債の9割以上は国内の金融機関等が持っているが、この資金提供者は国民である、⑦国民の個人金融資産は1400兆円である、⑧「みずほ証券」の予測によると、追加発行できる国債は569兆円である、⑨09年度中の国債発行は53.5兆円だから単純計算すると後10年分しかない、⑩政府の信用が弱まると国債が値下がりし、長期金利が上昇する、⑪利払い費の膨張で財政がさらに悪化する。

この記事と同じ内容のことを、私たちはかなり前から訴え続けてきた。しかし、小泉政権の時代を除けば、私たちの声を自民党は取り上げようとはしなかった。あろうことか、自民党政権が手を付けた再分配政策を止め、方向転換することを期待された民主党政権がこれをさらに増幅している(成長戦略なき再分配政策)。

私たちの運動の原点は、国にも中央政党にも希薄なこの危機感にある。このままでは国は破綻する。地方も巻き込まれる。だから、リスク分散という観点からも、成長エンジンを形成するという観点からも「分権」は必然なのだ。政党以外にも「国と地方」という対立軸を形成する必要があるのだ。地方は、政府であれ、政党であれ、国(中央)の従属機関であってはならないのだ。