歳費 ⾃主返納では国⺠の理解は得られない

歳費 ⾃主返納では国⺠の理解は得られない
浅⽥均・⽇本維新の会政調会⻑

⾃⺠、公明両党、参院会派「無所属クラブ」が提出した歳費の⼀部を⾃
主返納できるようにする国会議員歳費法改正案は、極めて問題が多い。
参院議員の定数6増に伴う経費増⼤を抑えるためとしているが、⾃主返
納だから、誰が返納したか確認できない。何⼈が返納したかも確認できな
い。国会議員は、国⺠が守ることを強制される法律を作っている。ところ
が今回の⾃主返納は、強制はしないので賛同する⼈は協⼒してほしいとい
うことだ。
では、国⺠が同じ論理で「税⾦が必要なら賛同する⼈が⾃主的に払いま
す」と⾔ったらどうするのか。国⺠より⾼い規範性を求められる国会議員
が、⾃らの⾝分に関わることに関してこれでは国⺠の間にモラルハザード
を引き起こす。

2割削減すべきだ
2012年11⽉に当時の岡⽥克也副総理は記者会⾒で「定数削減が実現す
るまでの間は、歳費を2割削減して⾝を削ること、そういうセットで(野
⽥佳彦)⾸相は⾔われました。⾮常にいい提案だったと思う」と発⾔して
いる。
公明党の⼭⼝那津男代表も12年2⽉に恒久的に歳費を2割削減するとい
う提案をした。
⽇本維新の会は今回、当時みなさんが⾔っていたことと同じ2割削減を
提案した。なぜ賛成できないのか、納得できない。
期限が3年に区切られているというのもおかしい。定数は削減しないか
ぎり増えたままなのに、なぜ歳費は3年で終わりなのか。
参院議員だけというのもおかしい。定数を増やしたのは参院だが、参院
だけで決めたわけではない。衆院を含めた国会の責任で決めた。なのにな
ぜ参院だけが対象なのか。
⾝分にしがみつく国会議員が多すぎる
国会議員は⾝分を保障されているのだからそれに⾒合った報酬を出すの
は当然だという議論はある。
⼀⽅で国会議員は⾝分が守られているがゆえに、そこにしがみつこうと
する議員がたくさんいる。あらゆる国会の改⾰に対して後ろ向きな議員が
いる。その改⾰を進めていく第⼀歩として歳費削減を主張している。
歳費のほかにも、「⽂書通信交通滞在費」という名⽬で毎⽉100万円が
国会議員に⽀払われている。維新は⾃主的に使途を公開しているが、領収
書の提出や公開の法的な義務はない。
また委員会の委員⻑には国会会期中、1⽇6000円の「委員⻑⼿当」が⽀
払われている。
議員⾃⾝についてこうしたことを⾒直していかないと、⾏政改⾰などで
きない。

時代の流れに逆らう参院の定数増
都道府県議会では定数を減らしたところはあっても増やしたところはな
い。市町村議会も合併で⼀時的に増えたところはあっても、その次からは
減らしている。
⼈⼝減少社会で⾏政の仕組みもスリムにしていく必要があるという前提
に⽴って、地⽅議会は議員定数を減らすために⼤変な努⼒をしている。
その努⼒をあざ笑うかのように、なぜ参院だけ増やすのか。国会が時代
の流れを全く読もうとしていない。地⽅議員にとっても、国⺠にとって
も、到底納得できる話ではない。
国会議員は「⾃分だけは違う」という意識が強すぎる。消費増税をす
る、国⺠に負担をお願いすると⾔いながら、その⼀⽅で⾃分たちの定数は
増やす。国⺠にまったく説明できない。