日本維新の会 浅田 均
参議院議員になる前から大阪府議会議員あるいは国政政党の役員として国(政府)に幾何かの関わりは持っていた。さらに、府議会議員になる前は、経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部専門調査員として、また、OECD職員として政府と関わっていた。つまり、約20年間、海外から或いは地方から国(政府)と関わっていたことになる。それが、偶々、国会の中の野党議員として、自ら立法活動を行うとともに、直接に政府を相手にすることになった。
身の上から言えば、明治初期の岩倉派遣団に加えてもらった下級武士のようなものである。加えて今回のWEB毎日新聞「政治プレミア」からの寄稿依頼である。時代が時代なら久米邦武の「特命全権大使 米欧回覧実記」を目指したかもしれない。しかし、時代は時代、立場も立場なのである。大阪でこそ日本維新の会は、府も市も首長を頂いているが、国会では少数野党なのである。
かかる境遇、立場の一野党議員として与えられた6つの項目について発信して行きたいと思う。
日本維新の会の設立目的は、統治機構の改革である。
その先鞭が大阪都構想である。「地方から国を変える」を謳い、大阪府と大阪市の統合再編(大阪都構想)を提案。平成27年に具体的な都区の設計図を大阪市民に示して住民投票を行ったが僅差とはいえ否決された。「江戸の敵を長崎で」というわけでもない。しかし、人口が減少する。加えて東京一極集中が進む日本のこれからを考えると、統治機構の改革が不可欠という結論に至る。この件に関しては別項で詳述するが、思いは以下の通りである。
先ず、国の議会とは権利と義務の配分の場であると思うが、国と地方を比べるとこの権利配分が国に厚すぎる。総理大臣が外交や防衛政策、マロ経済政策について語るのは良い。しかし、同時に待機児童の解消を語るのはおかしいだろう。待機児童の解消を語るのは市町村長の役割である。内政に係ることは地方への分権が必要だと考える所以である。国の権限を絞り込むことによって、国の役割は強化されるし、国の役人、国会議員の数も大幅に削減できる。もとより、議論しない議員、決定に係ろうとしない議員は不要なのだが。
決定と執行の分離も重要だ。政治が決定し、官僚組織はそれを粛々と執行する。これは戦略と組織の問題でもある。政治が戦略を持たないから執行組織が戦略まで決めてしまうようになる。政治任用枠を拡大し、「幹部公務員を特別職とする法案」を提出したのはかかる理由による。事務次官、局長などの幹部公務員は一般職公務員として過剰な身分保障を受けている。森友や加計の問題等で生じた問題、処分に対する不満の根源はかかる制度にも起因していると思う。
日本維新の会は合理主義集団でありプラグマチスト集団であると思っている。今ここにある問題を具体的にどう解決するか常に考え、提案している。
前置きが長くなったが、今回の主張は「国会改革について」。テーマ別分類では①の政党政治(政局)の範疇に入るのだろうか。
今国会も、財務省の文書改ざん問題や財務省役人等のスキャンダルを受け、日程闘争や何の果実も生み出さない不信任動議に時間を食われ、肝心の政策論議が少なかったような気がする。今の国会は、「国権の最高機関」に値するとは思われない。また、「唯一の立法機関」としての役割も果たしていない。日本維新の会は、このような国会を改革するために、参議院の代表質問で以下の提案をした。
① 国会を健全な議論の場にするためには、まず与党は強行採決をしない、野党は審議拒否をしないという原則を確立すること。
② 国会が確報の追認機関化しているのは問題で、一定のルールの下、各党が提案した議員立法はきちんと審議、採決すること。
③ 質問時間は、議席数を基本とすべきだが、与党は十分に事前審査をしているのだから、それを割引いて公平な配分をすること。
④ 各省庁の超過勤務の最大の原因は質問通告が遅すぎること。通告時間に関するルールを厳守すること。
⑤ 党首討論については予算委審議との調整を図り抜本的に見直すこと。
ここまでが予算委員会での代表提案である。
私は、さらに
⑥ (昭和30年に廃止された)議員間の自由討議を復活させる。
⑦ 通年国会とする。
⑧ 答弁機会のない大臣の出席は不要とする。
⑨ 委員会で質問機会のない議員の出席は不要とする。
を加えたい。
このうち、先に述べた「幹部公務員を特別職とする法案」や⑥「議員間の自由討議を復活させる法案」は100本以上の法案を提出したがその中に含まれている。
党首討論や議員間の自由討議を復活させることは、政策理解が討論の前提になるから、議員の質を高め、さらには議会の質を高めることになるだろう。国民の前で討論をする議員たちを見てもらおう。不要な議員は淘汰されるようになるだろう。これが先ずもっての国会改革提案である。(了)